SaaSとは?意味や定義、代表例などを分かりやすく解説

2023/07/24

テクノロジーの進化が日々急速に進む現代、IT用語が目まぐるしく出現しては、私たちの生活やビジネスに取り入れられています。

その中でも、「SaaS」という語句を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

しかし、「SaaSって具体的に何?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

そこで今回は、ITの知識がない方でも理解できるように、SaaSの意味や定義からそのメリット、デメリット、他のクラウドサービスとの違い、さらには代表的なSaaSの例までをわかりやすく解説します。

また、あなたのビジネスに最適なSaaSの選び方についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみて下さい。


SaaSとは?意味や定義を解説


SaaSとは、"Software as a Service"の略語で、これは「サービスとしてのソフトウェア」という意味を持ちます。これは何を指すのでしょうか。
インターネットを通じてソフトウェアを提供し、使用者が必要なときに必要な分だけを使う、という形式のことを指します。
以前はソフトウェアを使いたければ、自分のパソコンにインストールしなければならなかったのですが、SaaSの登場により、その必要がなくなりました。
ウェブブラウザさえあれば、場所を選ばずにどこからでもサービスを使えるようになったのです。
そのため、自社でサーバーを保有・運用する必要がなく、ソフトウェアの購入やアップデート、保守などの手間も減りました。
また、使い始めるのに高額な初期費用が必要ない点も、SaaSの魅力の一つです。
SaaSの具体的な例としては、メールサービスやオフィスソフト、CRM(顧客管理システム)、会計ソフトなどがあります。
これらは、個人のみならず、多くのビジネスでも活用されています。
これからもSaaSは我々の生活を便利にし、ビジネスを進化させる存在として、ますます重要性を増していくでしょう。この記事を通じて、SaaSの基本をしっかりと理解していただきたいと思います。

SaaSを導入するメリット


SaaSを導入することで得られるメリットは多岐に渡りますが、その中でも以下の点が特に注目されます。


  • コスト削減の可能性

  • アクセシビリティと柔軟性

  • スケーラビリティと維持管理の容易さ

  • 最新のアップデートをすぐに利用可能

  • 高度なセキュリティ機能



では、それぞれの詳細について解説していきます。

コスト削減の可能性


SaaSを利用することで、ソフトウェア関連のコスト削減が見込めます。
従来、ソフトウェアを使用するためには、自社のサーバーにソフトウェアをインストールするためのライセンス費用や、サーバーの設備投資、さらにはその維持管理にかかる費用など、多大な初期費用と運用費用が必要でした。
しかし、SaaSの場合、その大部分が不要となります。
例えば、会計ソフトをSaaSとして導入すると、個別にソフトウェアを購入したり、専用のサーバーを設ける必要がありません。
必要なのは、月々の使用料だけです。
しかも、多くのSaaSは利用者の規模に応じて料金が変動するため、小規模事業者でも大規模企業でも、自社に最適なプランを選べます。
これにより、ITコストを大幅に削減し、資源を他の重要な業務に振り分けることができるのです。

アクセシビリティと柔軟性


SaaSの2つ目のメリットは、そのアクセシビリティと柔軟性です。
SaaSはインターネットさえあれば、時間や場所を選ばずに利用することが可能です。これにより、オフィス外からでもビジネスを行う柔軟性が生まれ、リモートワークやテレワークが一般的になる現代の働き方に適応します。
具体例を挙げてみましょう。CRM(顧客管理システム)のSaaSを導入すれば、営業担当者は外出先や自宅からでも、顧客情報にリアルタイムにアクセスし、顧客対応を行うことができます。
また、プロジェクト管理ツールのSaaSを利用すれば、プロジェクトメンバーが異なる場所にいても、進捗状況の共有やタスクの割り当てがスムーズに行えます。
これらのアクセシビリティと柔軟性により、組織全体の生産性を向上させ、ビジネスの効率化を実現することが可能になるのです。
そのため、現代の多様な働き方に対応するツールとして、SaaSの導入は大いに価値があると言えるでしょう。

スケーラビリティと維持管理の容易さ


スケーラビリティと維持管理の容易さも、SaaSを選択する大きな理由となります。SaaSは需要に応じてスケールアップまたはスケールダウンが容易で、企業の成長や縮小に素早く対応することが可能です。
具体的な例として、Eコマースサイトを運営している企業が想定以上のアクセスが集中した際に、サーバーがダウンしてしまうという事態を想像してみてください。
SaaSのストレージや計算能力は必要に応じて拡張可能なので、このような事態を避けることができます。
また、ビジネスが一時的に縮小した場合でも、無駄なコストを削減するために、利用するリソースを縮小することも可能です。
さらに、SaaSの場合、アップデートやセキュリティ対策などの維持管理はサービス提供者が行うことで、自社でITスタッフを雇ってシステムを管理する必要がなくなるため、人件費や時間を節約できます。
これにより、企業は自社の主要な業務に集中し、ビジネスの成長を加速することができるでしょう。

最新のアップデートをすぐに利用可能


SaaSの一つの大きな魅力は、最新のアップデートをすぐに利用できるという点です。
伝統的なオンプレミスのソフトウェアでは、新しいバージョンがリリースされるたびに自社のシステムを更新する必要がありました。これには時間と費用がかかり、また更新の際にシステムにトラブルが起きるリスクも存在したのです。
しかし、SaaSではこの問題は解消されます。新しい機能が追加されたり、セキュリティが強化されたりすると、ユーザーはすぐにその恩恵を受けることができます。
例えば、ビジネスチャットのSaaSなら、新たな絵文字や便利な機能が追加された際には、すぐにそれらを利用してコミュニケーションをより円滑にすることができます。これにより、企業は常に最新の機能を活用し、ビジネスの効率を最大化することができるようになるのです。

高度なセキュリティ機能


SaaSはセキュリティ対策においても大きなメリットを提供します。
クラウドサービスプロバイダはセキュリティに大量のリソースを投入しており、専門家が常に最新のセキュリティ脅威に対応しています。これは特に、セキュリティ対策への投資が限られている中小企業にとっては大きな利点となるでしょう。
例えば、メールサービスのSaaSであれば、スパムフィルターやフィッシング攻撃からユーザーを守るセキュリティ機能が組み込まれています。そのため、ユーザーは安全にメールのやり取りができ、不要なメールから時間を浪費することもありません。
また、企業が自前でセキュリティ対策を行うとなると、それに伴う費用や専門的な知識、時間を必要としますが、SaaSならこれらをプロバイダーが担ってくれるため、企業は安心してビジネスに集中できます。

SaaSを導入するときのデメリット


SaaSの導入には多くの利点がありますが、全てが良いわけではありません。


  • データの管理・プライバシーに関する問題

  • カスタマイズの制限

  • インターネット接続への依存性

  • 長期的なコスト



SaaSを導入する際には、上記などのデメリットを理解し、どのように対処するかを検討することが重要です。

データの管理・プライバシーに関する問題


SaaSを使用すると、データはクラウド上に保存されます。
これは、プライバシーやデータ管理に関する新たな問題を引き起こす可能性があります。たとえば、SaaSプロバイダが破産してサービスが停止した場合、データの取り扱いが不確実になる可能性など。
また、プロバイダが外国に拠点を置いている場合、その国の法律や規制に従ってデータが管理されることになります。
そのため、企業のプライバシーポリシーや規制と衝突するリスクを考慮するよう注意しましょう。

カスタマイズの制限


SaaSの一部では、使用者がソフトウェアの機能を自由にカスタマイズすることが難しいという問題があります。

具体的には、企業が特定のビジネスプロセスやワークフローに合わせてソフトウェアをカスタマイズしたい場合でも、SaaSのプラットフォームはその柔軟性を提供できないかもしれません。

この制限は、特定のニーズを持つ企業にとっては大きなデメリットとなるでしょう。

インターネット接続への依存性


SaaSはインターネット接続に強く依存しています。

つまり、ネットワークが不安定または接続できない場合、サービスへのアクセスが断たれ、作業が停止する可能性があるということです。

特に、地方地域や移動中など、インターネット環境が不安定な場所で作業を行う場合、この問題は顕著となります。

例えば、営業担当者が移動中にクライアントのデータを更新しようとしたとき、不安定な接続状況で作業が滞ってしまう場合があるので注意しましょう。

長期的なコスト


初期費用が低い一方で、SaaSはサブスクリプションモデルを採用しているため、長期的に見るとコストが高くなる可能性があります。

一見安価に見えても、月々の利用料金が積み重なると結果的に高額な費用がかかることがあるのです。

例えば、初期投資が少なく済むCRMのSaaSですが、ユーザー数が増えたり機能を追加したりすると、長期的な視点で見ると高額な費用が発生することがあります。

これらの点を考慮し、SaaS導入の際には総所有コスト(TCO)を検討することが重要です。

SaaSと他のクラウドサービス(PaaS、IaaS)との違い


SaaS、PaaS、IaaSとは、それぞれ異なるレベルのクラウドサービスを指します。これらは全てクラウドの中にありますが、役割と提供範囲が違いがあります。
SaaS(Software as a Service)は、最もエンドユーザーに近いサービスで、インターネットを介してアプリケーションソフトウェアを提供します。ユーザーはアプリケーションを直接使用でき、管理や運用の負担がほとんどありません。
例) メールサービスやCRMシステムなど。
一方、PaaS(Platform as a Service)は、ソフトウェア開発者に向けたサービスで、アプリケーションを開発、実行、管理するためのプラットフォームを提供します。基本的なオペレーティングシステムやデータベース、開発ツールなどが予めセットアップされており、開発者はそれらを使ってアプリケーションの開発に集中できます。
最後に、IaaS(Infrastructure as a Service)は、最も基本的なクラウドサービスで、コンピューティングインフラストラクチャー(サーバー、ストレージ、ネットワークなど)を提供します。ユーザーは自身で必要なリソースを選び、それを使って自分でシステムを構築・管理します。

SaaSの代表例と導入による効果


SaaSの代表例としては、Google Workspace(旧称G Suite)やSalesforce、Zoomなどがあります。これらのサービスは、インターネット経由で提供され、特定の業務を円滑に行うための機能を備えています。
Google Workspaceは、メール、カレンダー、ドキュメント作成と共有、ビデオ会議など、ビジネスで必要とされる一連のツールを提供します。これにより、時間や場所に関係なくチームでのコラボレーションが可能になり、生産性を高めることができるようになるのです。
Salesforceは、CRM(顧客関係管理)ソフトウェアとして広く利用されています。顧客の情報を一元管理し、販売、マーケティング、サービスの各フェーズで顧客との関係を最適化することが可能です。
Zoomは、ビデオ会議、オンラインミーティング、グループメッセージングなどを提供し、リモートワークやオンラインイベントの開催を支援します。
これらのSaaSは、それぞれ異なる業務をサポートしつつ、企業の生産性向上、業務効率化、コスト削減などの効果をもたらします。導入する際には、自社のニーズとゴールに合わせた選択が重要です。

自社に適したSaaSを選ぶポイント


自社に最適なSaaSを選ぶためには、以下のポイントを考慮することが重要です。

  1. 自社の業務内容とニーズにマッチした機能が提供されているか。

  2. 初期費用や月額費用など、全体のコストパフォーマンスが妥当であるか。

  3. 利用者が直感的に操作でき、使いやすいインターフェースが備わっているか。

  4. データを安全に保つためのセキュリティ対策が整っているか。

  5. 問題が発生したときのサポート体制が充実しているか。


これらを踏まえ、自社にフィットするSaaSを選んでみましょう。

まとめ



この記事では、SaaS(Software as a Service)の基本的な意味から、そのメリット、デメリット、他のクラウドサービスとの違い、代表的な利用例、そして選択する際のポイントまで詳しく解説しました。

SaaSはビジネスの効率化やコスト削減に寄与する一方で、データ管理やカスタマイズの制限といった問題もあります。

だからこそ、自社のニーズに合わせて最適なサービスを選ぶことが重要です。

SaaS導入の検討をする際には、この記事が参考になれば幸いです。

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